強引な君と甘い恋
◇彼は口説き魔
─ガタッ
「み、みは…る?」
朝、足早に教室に入ると無口のまま自分の席に向かった。
肩に掛けていた鞄を下ろし、机の横にかけてから椅子に座る。
教室に入って来てからずっと見ていたあやめが、あたしの顔をのぞき込んだ。
「大丈夫…?」
「ごめんね、もう大丈夫だから」
安心させるべく精一杯の笑顔を見せた。
本当は正直まだ大丈夫じゃない。
思い出しただけで体が震えそうになるけど、これ以上心配かけるわけにはいかないから。
「…無理するなって。あたしは美春の味方だから」
そう言ってあたしの頭を撫でた。
あやめ…
あやめの気持ちがうれしい。
あたしを撫でるその手が心地よくて、あたしは素直にうんと頷いた。
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