二択(君だけ)
その時の…妻の顔を忘れません。


彼女は微笑み、

ただ…


無能な私を、抱きしめてくれました。




それから、数年経ちますが、

私は妻を抱けなかった。




そんな私に、

文句を言わずに、

ただ優しく笑顔を微笑む妻が、


愛しかった。

誰よりも、愛しかった。


だけど、

愛しく思う程に、

飯田のことが浮かび、

胸が苦しくなった。


狂いそうになかった。


なぜ!

私は、彼女の初めてではないのだ!


私は…


狂いそうだった。


いや、


狂ったのだ。




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