記憶の破片

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早く、早くこの想いを伝えたい。


叶わないかもしれない。


叶わない可能性の方が断然高いけど、今の私の気持ちをちゃんと言葉にしてぶつけたい。



「っただいま帰りました！！」



私は病人がいるにもかかわらず廊下をバタバタと音を立てて歩いて、勢いよく襖を開けた。


沖田さんは上半身を起こして本を読んでいた。



「お帰り、なさい」



さすがにビックリしているのか本から上げた顔を私にじっと向ける。


私は構わずに沖田さんのすぐ傍にに座り込む。



「私っ、聞いて欲しいことがあるんですっ」



乱れた息をなんとか整えながら、真っ直ぐに沖田さんを見据えた。


沖田さんも真っ直ぐに私を見てくれている。



「僕には、答えられないですよ」



私が口を開くより先に、沖田さんの声が部屋に響いた。


口振りからすると…。



「気付いて、いたんですか？」



おずおずと尋ねる。


沖田さんは困ったように微笑みながら、なんとなくですと言った。



「なんでですか？」



答えられないと言われたからってそう簡単には諦められない。



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