記憶の破片
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「パぁパぁ~」



大和さんの首に小さな腕で抱きついてきた珠子ちゃん。



「どうした?」



にっこり笑う大和さんは父親の顔。


今を高石大和として生きているけど、記憶が残っているから前世の後悔も残ってるのだと思う。



「沙知ちゃんも総司には会いたいと思う?」



珠子ちゃんをあやしながら大和さんは私に尋ねる。



「そう、ですね。会えるものなら会いたいと思います」



沖田さんだけじゃなくて他の隊士の人たちにも会いたい。


生まれ変わってるのかわからないけど。



「…沙知」



隼人さんがテーブルの下で、誰にも見えないように手を握り締めてくれた。


いつまでも変わらない手の温もり。


この温もりだけは歳さんとも隼人さんとも一緒。



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