記憶の破片
.



昨日は大和おじさんたちに会えて楽しかったなぁ。


そういえば帰り際、大和おじさんは私に「がんばって」と言ったけど…何に対してのがんばってだったんだろう。


そう思いながら携帯を見る。


PM1:15…。


約束の時間なんてとうに過ぎてる。


ちなみに私は3時間も前からここにいる。


バカかな、私。


でも、信じたい。


来てくれると。



「…お前、バカか」



信じてはいるけど、どこかでもう無理かななんて思い始めたのはそれから15分が経ったころ。


俯くと頭上から響いた声に勢いよく顔を上げた。



「…来て、くれたんですね」



ポツリと出た言葉に目の前の沖田さんじゃない、沖田さんは顔を背けた。



「…来るつもりなんて、これぽっちもなかった」



声は沖田さんよりハスキー。


顔も沖田さんよりもきつめ。



「でも、来てくれました」



この人にすごく惹かれる。



.
< 40 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop