記憶の破片
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「沙江の気持ちは、沙江が見つけなきゃ」



俯く視界に、お母さんがタオルを差し出してくれた。


タオルで目元を覆いながら、顔を上げてお母さんを見つめた。



「…見つ、ける?」



コクリと頷いたお母さんがそっと私の肩に手をおく。



「答えは沙江の中で出てるはずだから。あとは、それを沙江自身で見つけに行かないと、ね?」



「…ん」



私の気持ち。


私は誰と、どうしたいの?





…その夜、私は一晩中、眠れなかった。




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