記憶の破片

初恋の人と愛しい人

.



うとうとし始めたのは空が明るくなった頃だった。


でも、見つけた答えを早く伝えに行きたくて、顔を洗って昨日は浴びれなかったからシャワーを浴びた。


頭からぬるめのお湯をかけると少し気持ちも頭もすっきりできた。


こんな朝早く行ったら非常識かな?


髪の毛を乾かして、着替えて、まだ眠っているであろう両親にバレないように静かに家を出た。


この際、非常識でもなんでもいい。


聞いて欲しい。


昨日行った総さんのアパートは電車で1駅先。


電車はもう動いていたから難なく目的の駅まで辿り着けた。


駅からは歩いて10分ほど。


サラリーマン風の男の人やOLの女の人が駅に向かって歩いていく中、私は総さんのいるアパートを目指して歩んだ。


階段を上って、1番奥。


…朝の6時半って、起きて、ないよね。


ドアの前まで来ておいて今更ながらチャイムを押すことに躊躇ってしまう。


せめて7時くらいにすればよかったかな?


なんて考えていると、階段を上って来る足音が響いた。



.
< 86 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop