記憶の破片
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まさか総さんのはずがないだろうと思って、大して気にもせず総さんの部屋のチャイムを鳴らすかどうか悩んでいると、足音がどんどん大きくなっていった。



「…なに、してるんだ?」



ピタリと止まった足音は私のすぐ側。


頭上から響く声は戸惑いを含んだ声。



「…総、さん」



まさか、足音が総さんだとは思いもしない私の声も戸惑いを含んだ声になってしまった。


っどうしよう。


いざとなったら、怖い。


本当の気持ちを話すのが、怖い。


堪らず駆け出そうとした私の腕を総さんが引っ張った。



「用があって来たんだろ。逃げるな」



そのまま、半ば引きづられるような体勢で総さんの部屋にお邪魔をした。


昨日と同じ場所に座ると、総さんが昨日と同じように麦茶を出してくれた。



「…ありがとう、ございます」



躊躇い気味に言うけど、総さんは何も言わず、向かいに座った。



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