記憶の破片
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また無言が続き、部屋にある時計が時間を刻む音だけが部屋に響く。



「…総、さん、話、聞いてもらえますか…?」



じっと総さんを見上げると、よくわからない表情をしていた。


怒った風でも、困った風でも、なにとも言えない表情。


強いて言えば、いろんな感情が混ざったような表情だった。



「…あぁ」



総さんが頷いたのを確認して、私は小さく深呼吸をした。



「…私、沖田さんが初恋です。沖田さんを好きだという気持ちは変わりません。…でも、私は総さんも好き…」



一晩かけて出した答えをしっかり伝えなければ。


たとえ、総さんが受け入れてくれなくても。



「…なんか、それって、俺はおまけみたいな感じだけど」



自嘲気味に笑う総さんに私は首を振る。


そんな風に思ったことはない。



「初めて、総さんを見たとき、確かに総さんの中に沖田さんを見てました。…私が好きなのは沖田さんだけだと、思ってたから。…でも、頭も心も、沖田さんでいっぱいだったのに…出会ってほんの少しの総さんがどんどん増えていくんです」



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今も、総さんはどんどん増えていく。
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