記憶の破片
.



「そのせいで不安にさせるかもしれないけど、信じて欲しい」



「…総さん?」



パチパチと瞬きをしていると、総さんがふぅっと息をはいたのがわかった。



「俺も、沙江が好きだ」



「っ!」



初めて、総さんの声で紡がれた『沙江』にすごくドキっとしてしまった。



「あと、ついでに言えば俺はお前を手放す気はないから不安にもなるな」



「へ?」



なんか今、すごいこと言われなかった?


『手放す気はない』って…。


なんか、もう、この先ずっと一緒にいてくれるみたいな発言だよ。



「…俺も、約束したから」



「誰とですか?」



収まらないドキドキを抱えたまま尋ねると、総さんが優しい眼差しで私を見た。



「お前の初恋の奴」



え…。


初恋って…。



「沖田さん、ですか?」



「って言っても、俺がそう思ってるだけなのかも。…夢の中での話だから」



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