君へのラブソング
「…女の子、だったんだ。」
そう温い水で濡れた頬に無理矢理えくぼを作り、言う。
陸は黙って、あたしの隣に腰掛ける。
少し濡れた髪から香る、シトラスの爽やかな匂い。
「…そっか。」
「産みたかった…。」
一生掛けて、あなたを見守りたかったよ。赤ちゃん。
「ごめんね、赤ちゃん…ごめんね、陸…。」
陸をじっと見つめ、そう謝った。
すると、陸はぎゅっと力が少し篭ったハグをしてくれた。
濡れた髪があたしの頬をくすぐる。
「…美奈、謝るなよ。美奈はちっとも悪くない。…俺こそごめん。こんなに辛いとき、傍にいてやれなくて。」
表情は見えないけど、その掠れた声で、陸も辛いのがひしひしと痛い程に伝わった。
赤ちゃん、パパとママは心からあなたを愛してます。
ずっと、永遠に…。