君へのラブソング
寝室に入ろうとすると、リビングのソファーに腰掛ける陸に呼び止められた。
「美奈。」
「なに?」
少し嫌な予感がした。
ドキドキと心臓が速くなる。
「…座って?」
隣をぽんぽんと優しく叩いて、座るように促す。
あたしは素直に腰掛け、ちらりと陸とテーブルに置かれた婚姻届を交互に見た。
「なに…?」
『別れよう』そう言われる気がした。
「俺は、赤ちゃんを授かる前から美奈と一生一緒にいたい、一生掛けて幸せにしたいと思ってた。…いや、今も変わらず思ってる。
だから、俺と結婚してください。」
そう真剣な目をしてそう言う陸。
あたしは、予想外の言葉に一瞬混乱したけどすぐ理解できた。それと同時に涸れたと思ってた涙が頬を伝った。
「…返事は?」
そう優しい笑顔を浮かべる陸。…分かってるくせに。
「あたしでよかったら…喜んで。」
そう答えると陸はくしゃっと笑い、あたしを抱きしめた。
「よかった〜!」
そんな無邪気な声、久しぶりに聞いた。
陸、あたしをお嫁さんに選んでくれてありがとう。