君へのラブソング
受付を通し、俺は係っている精神科のフロアに向かう。
俺の名前は山岸百合(ヤマギシ ユリ)。こう見えても、21歳。生物学や戸籍上、女に分類される。
でも、一度たりとも自分が女だと思ったことはない。
そう、一度たりとも。
でも"オナベ"ではない。
俺は男なんだ。
俺は生まれてこのかた、ずっと男であることを信じて疑わなかった。
そんなある日、俺はある病気と出会った。
その病状は恐ろしいほどに当て嵌まり、ここの精神科と他の精神科に係ったところ、そうだと診断された。
その病こそ、"FtM-GID"。
…"性同一性障害"。
よく誤解されるけど、同性愛者じゃない。男として、女の子に恋をするんだ。