君へのラブソング
「今日ゆーの歌聴きに行くよ。」
父さんは頼んだエスプレッソコーヒーをふーふーと冷ましながら言った。
「え、マジで?」
「マジで。」
左の口角だけを少し上げて不敵な笑みを浮かべる父さん。
「恥ずかしいからやめて。」
そう言うと父さんは俺の肩に腕を回す。
「照れるなよー、ゆーは歌手になるんだろ?」
「なれたらいいけど、きっとなれないよ。」
そう俺が苦笑いすると、父さんは俺の頭をコツンと軽く殴った。
「お前な自信持て!ゆーの歌は最高だ、俺が保証する!それになゆーは俺の息子なんだ。だから自信持って歌うんだ。」
そう優しく諭す父さん。
その温かい言葉に俺の視界はぼやけた。
「泣くなよ、ゆー。男なんだから。」
優しく頭を撫でる偉大なる父。そのぬくもりがまた、涙腺を緩ます。
「泣いて、ねえよ。」
そう言いながらも、頬を生温い涙が伝う。