君へのラブソング

そして日が暮れはじめた頃、いつもの駅前に向かう。
ここでストリートライブを始めてどのくらい経っただろう。バイトの帰りに好きなギターを弾いて歌う。

そのことが唯一の楽しみで、いつかテレビの中で輝くアーティスト達みたいになりたくて、音楽事務所に履歴書を送る前に人前で歌いたい、そう思うようになったのが全ての始まり。


今日の観客は今のところ父さんとスーツを着た女の人の二人。
その二人の為に、歌う。
足を止めてくれた人達のために歌う。
心を込めて、歌うんだ。


徐々に、聴いてくれる方が増えて最近はファンです、と言ってくださる方もいて。嬉しくて、嬉しくて堪らないんだ。
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