君へのラブソング
赤ちゃんを失ったこの絶望感は未だに癒されることはないけれど、隣にいつも陸がいる。それがどんなに頼もしいか。言葉では言い表せない。
あたしは陸と出会って、恋に落ちて、愛し合って、赤ちゃんを授かって、本当に幸せだとつくづく思う。
恥ずかしいから口に出せないけど、陸。あたし、幸せだよ。
「陸…」
「ん?」
「…ううん、なんでもない。」
そう言うと、陸はそっかと言って、あたしの手を取った。温かい、陸の手。その薬指に光る銀の指輪の少しひんやりした感覚。
ちょうどいい高さにある陸の肩に頭を委ねると陸はそっと頭に口づけを落とす。
「…陸、ここ街中。」
「いいじゃん。」
そう微笑む陸に、とくんと心臓が跳ねた。