君と歩いた夏
「とりあえず、あそこ行って話そうや。な?」
彼に従い、渋々後ろについて行った。
やってきたのは、ファミレス。
「名前は?」
座席に座り、メニュー本を開きながら彼は尋ねる。
「…川島」
「……下の名前」
「…笑美」
「えみ?えみって、笑うに美しい?」
「…はい」
「ええ名前やん。せやから、笑美は笑わなあかんねん!」
あたしは返事をしなかった。
「笑美の笑った顔、見てみたいわ!!」
そして、あたしは勇気を振り絞って話し始めた。
彼は、何も言わずに聞いてくれた。
…嬉しかった。
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