Turquoise Blue Ⅲ 〜好きな人の名前〜




たくさん食べて それから練習した


練習っていうより、弾きたかった


沖縄の夜って 長い ―――


ドラムの音、前より 気にするようになった


なんだか眠るのが惜しくて 夜中 また
海に向かおうと、起きた ―――





「あれ…?」




庭に出ると マキちゃんの声


ピンクのブーゲンビリア
真っ赤なハイビスカス、花の影に
おじーと一緒に座ってる




「… おじー
本当に独りで、淋しくないの…?」


「寂しくね〜らんよぉ〜
空も、海も友達も
おば〜もいるさぁ ―――」




笑うおじーの横で、花が揺れてる




「タァコ」


「…ん?」



「じょ〜とう同志、なたんなぁ」


「―――… うん
皆、すっごいいい奴…」



「またおいで」


「…うん! おじーも、元気でね!」


「なんくるないさぁ」






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