Turquoise Blue Ⅲ 〜好きな人の名前〜
開いた玄関
奥からきこえるの、昼ドラの主題歌
家のにおいかいだら
なんだか急に 力がぬけて…
見慣れたマットの上に
ベースと荷物、ドカッと置いた
「まあまあすみません!
あら!はじめまして?!」
「はじめまして、羽柴と申します
真木が抜けられないもので
私がお迎えにあがりました
遅くなりまして、申し訳ありません」
「あらあらご丁寧に〜!
こちらこそありがとうございました!
今日はうちの人も迎えに行けなくて…
マキちゃんも、ありがとうね!」
「いえ
私も実家に、お土産渡しに行くので」
「あ!この前、駅でお会いしたわよ〜
マキちゃんのお母様と!
相変わらず、上品な方ね〜!」
「あはは」
「最近、御自宅で
料理教室開いてらっしゃるとか
なんかハツラツとなさってたわよ〜?」
「はい、みたいですね」
シノと、シノんとこに泊まるヒカルは
一番最初に送って貰った
お母さんと二人
門のところまで出て行って
ユリちゃんと 挨拶
「…お母さん!話長いって〜!」
「も…うるさいわねえ
――― じゃあ、気をつけてね
雨振ってるし、ゆっくりね!」
「はい、ありがとうございます」
「はい
ユカ!また明日!」
「ユカぁ、明日待ち合わせ
新宿駅前、十時だよ〜!」
「うんっ!!また明日ね〜!!