Turquoise Blue Ⅲ 〜好きな人の名前〜




「いいから早く〜!
時間なくなるわよ?!」


「ちょ… 待って!!髪があああ!!」


「でもよかったねえ
昨日あんなにすごい雨だったのに」


「お母さ〜ん!ゲタは〜?」


「庭に出してあるから
自分で玄関持って行きなさ〜い」









今年はヒマワリが 咲いてる




「お母さん、植えたの?」


「え?カボチャ?」


「ううん ヒマワリ」


「ユウが終業式の日にね
種もらって来たのよ〜」


「――― キレイだね」




「… あんたやっぱ
どっか具合悪いんじゃないの?!
ナスとキュウリの出来栄えしか
気にしたことなかったのに!」


「なにそれ!
花くらいキレイと思うよ
フツーに!」


「浴衣着る前に
ご飯、少し食べてく?」


「ん〜…いいや!
お腹すいたら向こうで
タコ焼きとか食べるし」


「ソース!
浴衣につけないように気をつけてね?
あんた水飴とか垂らすの
昔から得意なんだから!」


「も…わかってるよぉ
――― しかたないじゃん!
気がついたら勝手についてるし!」


「お母さんも
ちょっと見に行こうかなあ」


「花火?」


「うん
ほら、この坂上がったとこの公園
あそこから毎年見えるのよね」


「え!そうなんだ?!知らなかった!」


「だってあんた
花火大会、皆勤賞じゃん
あ、虫よけ持っていきな」


「うん」




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