Turquoise Blue Ⅲ 〜好きな人の名前〜




ライヴハウスに到着したのは
十二時二十分前 ―――




ライヴハウスって
人がたくさん集まるから
少し外れた場所というか
わかりづらい場所にあるというか…




今回のPearlPickも
センター街から一本外れた
喫茶店や模型屋さんの並ぶ細い路地
五階建ての、ビルの中にあった




二階まで、黒い鉄骨の
外付けの階段があって
入口の看板が見えたから
一度、そこまで昇ったんだけど


いろんなポスターだらけの
ガラス扉は閉まってて…




”チケット受取の方は
地下階段から一階にお越し下さい”


そういう張り紙があったから
急いで地下に行って、階段を昇った





ノックして入った事務所
受け取ったチケットは、五十枚




「――― ありがとう!武藤!」


「間に合ったな!」


「なんかおごるっ!」


「んじゃなんか飲も
ノドすっげー渇いた」


「じゃあどこ行こっか〜」




帰りにまた、地下を通ると ――――




今日出演するらしいバンドが
白いワンボックスの車の中から


大きなアンプやギターを
地下の階段へと、賑やかに運び出していた







< 297 / 525 >

この作品をシェア

pagetop