Turquoise Blue Ⅲ 〜好きな人の名前〜




「はい、お疲れ様」


「お疲れ様でした!!」




電話が鳴ってる、事務所の奥


二バンド目が終わったみたいで
今はモノクロのモニターに
誰もいないステージが映ってる




店長さんは、そのままうちらに
ダビングしたテープを渡すと
また椅子を鳴らして
机の書類に顔を戻してしまい


しばらく待ってたけど
ずっと書き物をして、そのままだった




だから…


ああ、前と同じだなあって…
もうやらせて貰えないんだ


そう思った時




「感想としては
よくここまでいじくられないで来たな と」




「え…」


「えと…技術とか、足りない…ですか?
そしたら練習しますし!」


「――― まず、ギターの貴女!」


「は、はいっ!」




「相当洋楽から邦楽
レコードやCD聞き込んでるでしょ
色々手数があるね
環境が財産タイプ!感謝する事!
次!


キーボードとドラムとカノジョは
教室とか通ってたとかなのかな?」


「あ、はいっ!」


「吹奏楽やってました!」


「基本、しっかりしてますね
努力の賜物です!自分に拍手!」


「あははは!」

「え…え?!」


「次!!ベースのカノジョ!」


「…は…はいっ!」


「プロの人に
教えて貰った事がありますね」




「―――…え」




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