Turquoise Blue Ⅲ 〜好きな人の名前〜
大学、本部 ―――
「えっと
お話は、わかりました!」
「は…っ!はいっっ!
だから設営っていうか、ステージ
まだ全然出来てなくて…!」
ホンモノってわかった時のことは
もう当たり前の出来事なので省略
挨拶して、事情話して ――――
「どこに会場、作る予定なんですか?」
「え…えっと、場所は…」
向かったのは
東A棟と B棟の間 ――――
ステージ予定の広場の前には
門から真っすぐ、裏門まで続く道と
道と上垣に沿うように
高い木とかがたくさん生えてて
その向こうには、別の大学の研究棟
「おー!! ここかあ!」
「はい…っ!
この広場にステージ作って
イスが運ばれて来るはずだったんです…」
いきなり ―――
アズさんは
ステージ予定の場所の真ん中
まだ何もないとこに走って行って…
まるで神社でお参りするみたいに
何回か大きく 手を叩いた
校舎の壁に、乾いた音が響く
「――― うん!
これくらい響けば
あんまりすごいアンプとか
いらないかも!」
「――― う…歌ってもらえますか…?!」
「あ、でもお客さんには
”ガリさん”でチケット
売っちゃったんでしょ?」
「――― は、はい
で、でも!!
『Azurite』さんの歌なら
お客さんも、全員納得して…!!」
「それはないよ」
「―――……」
「だから、呼ぼ! はい」
「―――…え?!」