クローバークロニクル
??????


突然現れた大男は、何か紙袋を下げながらズンズン近づいてきた


誰??


そう思った時だった



「時ちゃん…?」


時…ちゃん???


「あらあら、時舘さん…」


か、か、海里の…お父さん??


おじさんは突然、家が揺れるほど大きな動作で土下座を始めた


「嶋ちゃん!!!頼む!!環ちゃんを海里の嫁に…
いや、無理なら赤ん坊だけでいい!産んでくれ!」


「…………………はい?」


「傷付くのは環ちゃんだってことはよくわかる!でも、忘れ形見になるかもしれないんだ!!産まれてからは家で引き取るし、検査とかの費用も俺が持つ!家の田舎に、妊娠中は居てくれても構わない!ホテルは手配するから!」


「妊娠…って…」


お父さんはその話で、初めて私の顔を見た


「環…?」


「産みたいの…、大事な海里の子なの…」


よろっっとお父さんがふらついた


「嶋ちゃん!頼む!!」


「おじさん…」


床に頭を擦り付ける必死な様子に、どんなにこの子が望まれているのか実感した


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