クローバークロニクル
翌日二人で自転車に乗ってセンターまで行く



センターは市役所の中に普通に入っていて、一見クローバーセンターかどうか解らなくなっていた


差別の配慮がされている…


普通に自動ドアを抜けると中は若い人で溢れていた


「また、増えてる…」


海里が呟いたのを、私は聞き逃さなかった…


私も…増えた一人…


番号札を取ると、待ち人数は12人…


「血液検査とか、基本的な検査をするんだ…
何が解るかわかんねーけど…」


「血液…検査…」


「何で…環が」


海里が頭を抱えた


「ごめんね…、せっかく妊娠したのに」


「バカ!お前のせいじゃないだろ?」


「そうだけど…」


「お前、怖くないの?死ぬこと…」


「…どっちかって言ったら、何も出来なくて死ぬのが怖い…
この道を自分で選んだときから、私は死ぬんだって覚悟したから…
たかが、15歳だけど」


「お前…スゲーな」


「スゴくないよ!みんな死ぬんだよ…でも、この世界の方がずっと『生きてる』って実感できる。だから、せめて産みたかった…」


遠くを見つめて願った



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