クローバークロニクル
来週また検査に来ることを約束して、私達はセンターを出た


「…信じられない」


「何が?」


「進化?私だけ?」


「スゲーよな、この世で2人目だぞ?」


そんなの…、1人だけなんて意味がない


1人だけ生き残っても、海里がいないなら意味ないじゃん…


海里を黙って見つめると、仕方なさそうに笑う


「そんな顔、してんじゃねーよ!俺だって妻子遺して死にたくねーけど…
でもこればっかりはどうにも出来ないし。
まあ、強いて言えば子供の顔を見てから死にたいな〜」


そんな風に笑う海里を、私は助けてあげられない…


1人で生き残らなければならないなんて


でも…そんなの、まだわからない


もし私が本当に生き残るのであれば、海里を助けられるのかもしれない…


きっと










その足で私達は産婦人科に行った


おばあちゃん先生がいる産婦人科で、海里は強引に診察室までついてくる


もちろん内診台までは無理だけど、お腹に直に診察するエコーにはちゃっかり隣に座っていた


< 141 / 158 >

この作品をシェア

pagetop