クローバークロニクル
「病原体があって、かかった人から作る抗体が病気を予防する…
クローバーは進化なんだよ。元々の病原体がないから、抗体なんて作れない」


ため息が溢れた


結局、私だけしか…


「でもこれでたくさんの人が生き残る道が出来たわけだ」


「え?」


あ、そうか…


まだクローバーになっていない女の子は、生き残れる…


「ただ、これを発表するには、良くも悪くも影響が出る…」


良くも「悪く」も!?


「悪いことなんて、無いじゃないですか?人類滅亡がかかっているんですから!」


「…そうだね、人類が滅ぶよりはよっぽどマシ…かな」


薬師寺さんの苦笑いを、私には理解出来ず…


「あの…」


「ん?」


黙っていた海里が、口を開いた


「クローバーになっている精子が、非クローバーの卵子と受精すれば…生き残れるんですよね?」


「そうだよ」


「クローバーなら…」


海里はデータを見ながら考えこんでいた


この時海里が、私の世界を揺らす大きな事を考えているなんて知る由もなく



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