クローバークロニクル
「バカじゃないの?どうせ死ぬんだから、精子くらいくれたって!海里だって、他の女と遊びたいって思ってるんだから…」


「思ってるわけねーだろー」


突然海里の声が聞こえて振り向くと、海里はうちの玄関から出てきていた


「ゆかり、悪いけど二度と俺達に関わるなよ。環の胎教に悪いし…」


「何よ…、今まで散々やってきた事でしょ?またやればいいじゃない?」


「別に種撒いて歩いてなかったけど…
こんな事になった以上、俺は環以外の女は抱かないし、精子一匹誰にもやらない。これは俺の意志だ。
俺の身体は細胞一粒から環のもんだ!お前みたいな人間には絶対やらない!」


「…かいり」


「行くぞ…」


私の肩を抱いた海里が、ゆっくり玄関へと促す


ちらりとゆかりを見ると、憎らしげに私達を見ていた



「環、サンキュー…」


消えそうな声で呟く海里の声を、押し潰されそうな思いで聞いた…


こんな世界じゃなければ学園のアイドルだったのに…

かいり…


海里の辛さを、私はどれだけ理解してあげられるのだろう…












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