クローバークロニクル
病院の帰りも、海里は娘について熱く語り続けた

自転車は危ないから、今は二人で手を繋いで歩く

「顔は俺に似て…性格…も俺に似て…
ヤバイな、悪い虫が湧いてくるから、早めに退治しないと!」

「私にはどこも似ないわけ?」

「………………髪質?」

バン!と空いた手で海里にパンチした

「何で私が産むのに、それしか似てないのよ!」

「ハハッ、お前が産むんだから、俺に全部似たっていいだろ!?」

「じゃあ、私に全部似たら可愛くないわけね?可愛がらないわけ!?」

「環に全部似たら、それはそれで愛嬌があって可愛いんじゃない?」

「キッー!!ムカつく!」

またバシバシ叩くのを、海里は笑って受け止めていた。


「二人目からは、環に似た子がいいよ。でも、この子だけは、譲れねぇ…」

私の手を掴んで、寂しそうに笑った

「二人目って…」

「この先、何があるか解らないだろ?もし俺が死んだら再婚するかもしれないし、俺はまだ死なないかもしれないし」

「海里…」

「俺が死んだら、お前は縛られることは無いんだ…環」

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