クローバークロニクル
「…色々」


「うん。よんちゃんやきょうちゃんに教えてもらってる」


「ふーん…」


「タラシなんだってね」


ぶっ!と海里がジュースを吹き出した


「女の子と遊んでるの?」


「友達だよ!クラスの…」


「ふーん」


私はクスクス笑いながらティッシュペーパーを差し出した


「今日一緒にいた男、誰?」


「え?」


今日?あ、ノート運びの?


「知らない」


「はあ?」


「名前を知らない」


「ああ…そうか」


「何で?」


「いや…」


「あ、ねえ、海里ならわかる?嵐山って名字の人、学校にいる?」


「嵐山?なんだその名字は!スゲーな」


「真面目に聞いてるんですけど!」


「聞いたことねえな…」


「そっか…」


海里という名前の人間がいるんだから、嵐山だって…って思ったけど、残念。会ってみたかったな…


「何で?」


「なんとな…」


その瞬間、目の前に臥せられた長いまつ毛の生え際がよく見えて、何かよくわからなかった


けど次の瞬間には「チュッ」と音が温かい感触と共に唇から聞こえて、目が点になる



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