クローバークロニクル
海里を睨んでいた目が、私に向いた


「は?それだけ?!」



「………そ、それだけって、かなり十分でしょーが!」


「…今さら」


ふうっと巧がため息をついた


「え?今さらって何よ!アンタ弟でしょ?何とか言ってよ〜!」


弟の二の腕の袖を大きく揺すった


「海里、この間女連れ込んだんだろ?いい加減、そろそろ落ち着いたら?」


ひんやり冷めた目で海里を見つめる巧


つ、連れ込んだ?


「いや、誤解だって!なんもしてないから!」


「あっそ。ま、姉ちゃんもいちいちキスの一つや二つで大騒ぎすんなよ…
婚約者なんだから今さらだろ?」


「たーくみー!悪い!」


「おっせーよ!」


巧は気になるキーワードを吐き捨てて、さっさと海斗の方へ走って行ってしまった…


こんやくしゃ?


婚約者って…


婚約者???


「まず、自転車乗れよ」


また、海里まで普通にやり過ごすから、私の頭は混乱している


「ちょっ…、婚約者って…何?」


「は?お前の世界に婚約者って意味、無いの?」



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