クローバークロニクル
「あけぼのに戻りた〜い!」


嘆く私を、よんちゃんが笑い、きょうちゃんがヨシヨシしてくれる


実際、この世界は私にも居心地抜群だった


お父さんとお母さんはおっとりしてて、すごく仲が良くていつもおしゃべりしている


気付けばいつも巻き込まれていて、それがすごく楽しい


前の家族は二人とも仕事で疲れていて、会話はあっても少しだけ


妹は思春期で部屋に籠っちゃうから、結局部屋に一人でいることが多くて…


だから、居づらかった家族団らんもいつの間にか普通に参加していた


平日は当たり前のように海里が来て、孤独を感じてる暇なんて無かった




「嵐山君…元気かな…」


どんより梅雨雲に、ぽそっと話しかけた











「もうすぐ体育祭だな〜、また俺のファンが増える…」


「あっそ」


「困るな〜」


困ってる感じは微塵も感じられないけど


空を見上げると雲が切れて少しだけ明るい


「夏か…」


いつ戻れるのかな


「環、覚えてねーかもしれないけど」


「何?」


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