クローバークロニクル
「エイズだって、癌だって、今は必ず死ぬ病気じゃなくなったんだから、これだって」


「そうだよね…」


早く薬が出来ればいいのに…


すっかり梅雨が明けた空を見ながら、願っていた

















「海里先輩!」


「海里、カッコいい!」


校内体育祭


やっぱり女子の注目は、ミスター梅学の海里で…


みんなから熱い視線や声援を送られている


そりゃあ、そうだろうな


私の世界じゃ、俳優さんと同じ顔なんだもん…


カッコいいのは認めてるよ


スポーツ万能の海里は、今日は一段と輝いて見えて、私には何だか眩しい


男子からは肩を組まれ、女子には腕を組まれ、みんなに囲まれて笑う海里を、私はブラウン管の中で輝く圭太君と重ねて見ていた


さっと私にガッツポーズを見せる海里に、回りの女子からの痛い視線を感じながら苦笑いした


無神経っっ!!


そう思いながらも、「仕方がない奴」と気付くと笑っていたのは確かで…




「環、次、女子だよ!」


きょうちゃんに言われて、スタート地点まで向かおうと歩いていたら、足を引っかけられた






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