クローバークロニクル
「お世話になりました」


海里が一言言って教室を出る


「環、帰ってくるの、待ってるから…」


そういい残して、学園一のイケメンと言われていた海里は、学校を出ていってしまった




私が学校で海里を見た最後の姿だった





回りを一瞥しながら廊下へ抜けると、海里のファンクラブ会長が立っていた


「あ…」


「海里だけは、クローバーにはならないと思っていたわ…」


「え?」


それって、どういう意味?


「海里は映画に出てくるヒーローみたいに、最後の最期まで生き残ると思ってたのに…」


「海里だって、そうなりたかったはずです」


「あんたは知ってたの?」


「もちろん…」


「信じられない…、海里がいなくなるなんて…」


「縁起でもないこと、言わないでくださいよ!海里は生きてるし、すぐに薬だって出来るんだから!!」


会長はふっと笑って私を見た


「そうね、ヒーローみたいにまた立ち上がるわね」


私も笑って、その場を去った


海里は死なないよ!


絶対!!!



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