クローバークロニクル

I Miss You ...

家まで歩いていると海里の家の前に、海里とこの間キスをしていた女の人が立っていた


私は思わず回れ右をしてぐるりと遠回りをしながら、自分の家の裏口から入り、会話が聞こえそうな塀に隠れた


盗み聞き…なんてバカみたいだけど


「…だから、どうしてダメなの?」


「…ちゃんと環と付き合うことにしたから、もう止めようぜ」


た…ただならぬ雰囲気に、心臓がドキドキする


「そんなにあの子がいいわけ?」


「ああ、いいね!」


かーっと熱くなってしまう


「前はあんなに適当だったくせに」


「…やっぱ、気付くんだよ、こんな状態になれば」


「私なら海里をもっと癒してあげるよ?最期までもっと愛せるよ?」


「だから、環がいるんだって!」


「じゃあ、私と付き合って。好きなの!傍にいたいの!」


「俺が傍に居たいのは、環だ…」


「…代わってあげたい。可哀想な海里…」


「…同情?悪いけど口だけにしか聞こえねーよ…」


「違うもん!私、代われるなら代わってあげるよ!海里がそれで生きるなら…」


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