好機逸すべからず!!
「ほら。ちゃんと立って。」

大村の腕を自分の肩に回し、引きずるようにして寝室へ向かう。

その道中に声をかけるが「うーん…」と意識があるのかないのか、そんなはっきりしない返事が返ってくるだけだった。

一緒になって結構な量のビールを飲んでいた俺は、大村をベッドに運んだ頃には疲れきっていた。

それどころか身体を動かしたことによって、確実に酔いが回っている。

ベッドに寝かそうと大村の腕を肩から外しかけると、薄っすらと開いた大村の目と俺の目が合った。

いつもよりも潤んだ瞳はカーテンの隙間から入り込む月の光を取り込み、一層輝いている。

どうしようもなく魅力的なその瞳から目が離せない。



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