好機逸すべからず!!
シャワーを終え、水を飲んで喉を潤すと大村の事が気になる。

そろそろ起きるかもと思い、寝室のドアを開けようとしたが、その手は止まった。

『ここ何処?』

扉の向こうから聞こえる声はどこか沈んだものだった。
思わず止まった手はドアノブに触れたまま動かす事が出来ずに、部屋の中の様子を伺うようにしてドアの前に立ち尽くす俺がいた。

ここ何処…。

その言葉を聞いて、大村は昨夜の事を覚えていないのだと理解する。

そんな俺の耳に届いたのはふーと息を吐き出す音で、それは大村の吐いた大きな溜息だった。



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