好機逸すべからず!!
柳は無表情なヤツだが、冷たいヤツなわけではない。
分かりにくいヤツだが本当は相手に気を使う事ができるヤツだと俺は知っていた。

「あのさ…。」

その視線だけで返事を済ませた柳に俺は続ける。

「どうしても欲しいモノがあるとしたら、柳ならどうする?」

「欲しいモノ?」

「そ、欲しいモノ。
どうしても手に入れたいんだけど、手に入らない。
そんな時、お前だったらどうする?」

「なんだそれ。」と相変わらず興味なさそうに言った柳は、進行方向に目を向けたまま口を開く。

「努力する。どうにか頑張る。」

あまりにも柳らしからぬ返答に俺は目を見開いた。



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