好機逸すべからず!!
そのままほんの少し歩みを進めると、柳は珍しく女に声をかけた。

「おはよう。」

「あ、おはようございます。」

女は柳に笑みを向けると、俺にペコリと頭を下げた。
柳が声をかけたのは女で、その事に俺は驚く。

「これ、忘れてた。」

柳はそう言ってジャケットのポケットから何か取り出す。
彼女と俺はそれが何なのか見つめていた。

「ほら。」

取り出されたのは女物の腕時計で、それを見た彼女は「あっ。」と目を大きくする。

「どこに忘れたのかと思ってました。ありがとうございます。」



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