好機逸すべからず!!
「誰?今の…。」

いつもと違う柳に俺は戸惑いながらも訊ねてみた。

「ああ、同じ部署の原田さん。」

応えた柳はすっかりいつもの柳に戻っていた。
柳は素っ気無く『同じ部署の原田さん。』と言ったが、二人の関係はそれだけじゃないのだろうと、瞬時に理解する。

「ふ~ん。」

俺が意味深に返事しても柳は知らん振り。
でも前を見据えている柳の目は、確実に愛しい何かを見つめる目だったから問い詰める事はせず、そのまま見守ってやる事にした。

柳のどうしても手に入れたいモノは、同じ部署の原田さん。だったのかもしれない。



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