好機逸すべからず!!
何か言いかけた大村は、少し考え込む様にする。
同時に俺の様子を伺うような眼差しを向けた。

そんな大村を冷めた目で見ていた俺だったが、大村の目からポロポロと涙が零れ落ち、吃驚する。

「おっおい。何で泣いてるんだ?」

「…分かんない~。」

顔を真っ赤にして嗚咽を堪える大村に、

「ちょっ…、泣くなよ。」

俺はどうする事も出来ない。

狼狽する俺は気の利いた台詞も、女の流す涙を止める術も身につけていなかった。



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