好機逸すべからず!!
「自分でも分からないの!忘れれば良いのに、忘れられない!!
覚えてない事がムカつくの!!」

力任せに缶をローテーブルに置いた大村の言葉をすんなりと理解する事が出来ず、俺は押し黙る。
はっきり言って意味が解らなかった。

読解不明な難問を突きつけられたような気がしてならないが、大村も「あっ、いや…、ちがっ……」等と本人ですら訳が解らなくなっているようだ。

どうしたものかと、口を噤んでいた俺だったが

「何とか言ってよ…。」

大村から助けを求められ、仕方なく口を開く。

「…もう一度聞くけど、もし、大村がこの前の事覚えていたら、何かが変わったわけ?」

少しぐらい強引に行った方が良い。
柳に言われた言葉を俺は思い出していた。



< 38 / 46 >

この作品をシェア

pagetop