―不可能な共存―
「言ったわよ。リズムのプリントも配ったはず」



あたしは正直テストが嫌いだ。


少し前までは一切やらなかったんだけど、もう1人の音楽教師に怒られたので仕方なくやっている。



普段、態度の悪い子が実技テストで意外な才能を発揮してもいい成績はつけたくない。



その場だけの評価で成績なんてつけたくない。



こう見えて、あたしは意外に真面目なセンセイなんだよ。



ドラムのテストは速やかに進み、コウスケの番がきた。



「じゃぁ次、狭間くん」


コウスケは無言でドラムに向かって歩いてくる。



ドカッとイスに座ると、スティックを見つめた。



「どうしたの?」



コウスケはあたしをチラッと見ただけで、返事をしなかった。
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