―不可能な共存―
少女は南條に肩を寄せ、ささやく様に言った。



「テツがいた」



南條は少女が思っているよりバカではなく、すぐに後ろを向いたりはしなかった。



「覚えてる範囲でいいから、状況を説明してくれ」



少女は目をつむり、一瞬だけ見たテツとテツの周りの様子を頭に思い浮かべた。



「入り口から数えて3番目のテーブル席…


男女合わせて5〜6人かな。


テツは白のタンクトップに軍パン。


シルバーのネックレスもつけてると思う」



少女の観察力に南條は驚いた。



「充分だ。お前はもう後ろを向くなよ」



少女は小さくうなずいた。



南條は一瞬だけテツの方に視線を向けると、すぐに向き直った。



「アイツか…」



南條の目つきが変わった。
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