―不可能な共存―
数秒後、足音が聞こえた。



さらに数秒後、もう一つ足音が聞こえた。



「どうも〜」



低いが軽い声が聞こえた。



若くはないようだ。



「どうも」



今度は間違いなくテツの声。



「最近、量多くない?」


「そうっスか?まだ足りないくらいっスよ」


「体は大事にしろよ」


「これがない方が俺の体ヤバくなりますよ」



2人の笑い声。



嫌な笑い。



「うちのは純度いいからねぇ〜。そこらのとは質が違うのよ。じゃ、親父さんに宜しくな」


「うぃっス」



テツがそう言うと、薬を売ったと思われる男がトイレから出て行った。



今このトイレ内にいるのはテツと少女と南條の3人だけ。



少女は直感的にヤバいと思った。



少女の予感は的中した。南條は個室から飛び出し、背後からテツの口を塞いだ。



「お前がテツだよな?」
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