―不可能な共存―
コウスケがリズムを刻み出すと、そこにいる全員がすぐに引き込まれた。



何の狂いもない見事なドラムさばき。



たたき終わった事にも気づかないくらい聞き入ってしまった。


「終わったんだけど」



コウスケがぶっきらぼうに言った。



「え?あぁ、ゴメン。お疲れ様。もういいよ」



あたしがそう言った後も、なぜか目を離さない。



「何?」



そう聞くと、コウスケはやっぱり無愛想に言った。



「スティック変えた方がいいんじゃない?」



スティックをよくみると、傷だらけだった。



「そうね。検討しときます」
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