―不可能な共存―
ユウリ以外の全員がテストを終えても、まだ授業は終わらなかった。



10分残っている。



「じゃぁ、あと10分は自由にしてていいよ」



すぐに音楽室は一層騒がしくなった。



先程までは一応抑えていたようだ。



「ねぇ、先生」



あたしが、油断しきった顔でぼーっとしていると、1人の女子生徒が声をかけてきた。



「ん?」


「コウスケの事、どう思う?」


また…なんというか…予想外の質問だわ。



女子生徒は心配そうな顔をしている。



「どうって…いい子だと思うけど」



女子生徒は益々心配そうになった。



「それだけ?」


「それだけ」


「ホント?」


「ホント」



女子生徒はようやく納得したようで、明るくかわいらしい顔になった。
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