―不可能な共存―
音楽室の正面には黒板があり、そのそばにはグランドピアノが置いてある。
だが、今そのグランドピアノはほぼない状態だった。
ほとんど原型をとどめていないのだ。
白い鍵盤には赤い何かで雑に塗装されている。
血ではなく、ただのペンキか絵の具であることが唯一の救いである。
でも、その鍵盤は本体から遠く離れた場所に無残に散らばっている。
ピアノに全く興味がない人が見れば、それがかつて鍵盤だった物だとは思わないだろう。
本体の方も弦はすべて切られているし、脚も2本折れている。
これはもういやがらせがどうとかいう次元ではない。
器物破損。
完全に犯罪じゃないか。
かわいそうなグランドピアノに手を触れてみると、『痛いよ』という声が聞こえてきそうだった。
ぬるっという感触があったので、手のひらを見てみると、赤いものがべっとりとついていた。
まだ乾いていないという事は今朝早くにやられたということなのかな。
もう一度、ピアノの内部を見てみると、切れた弦の一本にほんの少しだけ赤黒いなにかがついていた。
それは間違いなく血だった。
見逃さなかった事が奇跡のように思うほど少量。
どうしてここにだけ本物の血がついているのだろうか…
だが、今そのグランドピアノはほぼない状態だった。
ほとんど原型をとどめていないのだ。
白い鍵盤には赤い何かで雑に塗装されている。
血ではなく、ただのペンキか絵の具であることが唯一の救いである。
でも、その鍵盤は本体から遠く離れた場所に無残に散らばっている。
ピアノに全く興味がない人が見れば、それがかつて鍵盤だった物だとは思わないだろう。
本体の方も弦はすべて切られているし、脚も2本折れている。
これはもういやがらせがどうとかいう次元ではない。
器物破損。
完全に犯罪じゃないか。
かわいそうなグランドピアノに手を触れてみると、『痛いよ』という声が聞こえてきそうだった。
ぬるっという感触があったので、手のひらを見てみると、赤いものがべっとりとついていた。
まだ乾いていないという事は今朝早くにやられたということなのかな。
もう一度、ピアノの内部を見てみると、切れた弦の一本にほんの少しだけ赤黒いなにかがついていた。
それは間違いなく血だった。
見逃さなかった事が奇跡のように思うほど少量。
どうしてここにだけ本物の血がついているのだろうか…