―不可能な共存―
お風呂に入っていると、携帯電話が鳴っている事に気がついた。



めんどくさいと思いつつもバスタオルを体に巻きつけ、急いで携帯電話を取りに行った。



画面には『非通知』の文字が出ている。



急いで取りにくる必要もなかったなと思いながら、通話ボタンを押した。



「もしもし」


「…」



相手は何も言わない。



無言電話だろうか。



どうせ料金は向こう持ちなんだから、もうちょっと切らないでおこう。



あたしもしばらく無言でいた。



「ちょっ…」



電話の向こうからそう聞こえたのと同時に、電話は切れた。



ちょっ?
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