―不可能な共存―
その場所につくと、あたしの頭の中は真っ白になり、卒倒しそうになった。




横断歩道の真ん中にコウスケとツバキが倒れている。




白のセダンが急発進したのが見えた。



その光景を見れば、今ここで何があったのかわかる。



セダンに轢かれそうになったツバキをコウスケが突き飛ばし、ツバキの代わりにコウスケがセダンにぶつかった…




あたしもユウリもその場から動けなかった。



4人の内、一番最初に動いたのはツバキだった。




ツバキはコウスケを見て一瞬目を大きく開いたが、次の瞬間には服についた汚れをパンパンとはらっていた。



そして、あたしたちを睨んで言った。




「コレが一番の復讐かもね」



ツバキはコウスケを助けようともせずに、そのまま走り出した。




ツバキが走り出した瞬間、あたしにはツバキの頬を伝う大粒の涙が見えた。



コウスケへの想いよりも、あたしたちへの憎しみを選んだという事なのだろうか…
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